ペインクリニックとは?

ペイン(pain)とは英語で「痛み」、「苦しみ」を指す言葉で、ペインクリニックは日本では、「痛みの治療」「疼痛専門外来」と訳されます。 痛みはそれだけで苦痛、恐怖を与えその人らしい人格や意欲まで奪う辛いものです。一般の診療科では「痛み」は単なる症状の一つとして考えられる事が多いのですがペインクリニックでは痛みそのものと痛みのもたらす苦痛を取り除き、あるいは軽減して生活の質を改善する事を大きな診断・治療の目標としています。また日本ではペインクリニックが当初麻酔科医によって始められた事もあり局所麻酔剤などを用いた“神経ブロック”という治療も薬物療法、理学療法、心理カウンセリングに加えて受けることができます。

痛みとは

「痛み」とは、身体に生じた怪我などの組織損傷により生じた、あるいはそのような経験から表現される不快な感覚、または情動的な経験をであると定義されています。つまり必ずしも「痛み」の原因となる組織の損傷が無くても痛みは生じます。

急性の痛みの多くは何らかの原因が起こる事が多いのですが、慢性の痛み、つまり長く煩っている痛みには必ずしもその痛みを説明できる原因が見いだせない、たとえば傷であれば、もう治ってしまっているのにまだ痛みが続いてるという事がしばしばあります。この様な長く続く痛み“慢性痛”は痛みをの元々の原因を治療しても痛みが取れない事もしばしばです。この様な場合、神経ブロックなどで痛みそのものを一旦取り除くとそれがきっかけで痛みが痛みを呼ぶという悪循環が断ち切られ長く続いてきた痛みが劇的に改善することもしばしば経験します。

急性の痛みの多く、つまり多くは怪我だとか臓器・組織の炎症などの痛みの原因が有る痛みについては痛みが身体への危険信号として働き、これにより人間は痛みの元を避け、また痛みが有ることにより安静を保ち治りが早くなり、また痛い事により怪我や病気に気づきそれにたいする治療を受ける訳ですから痛みそのものはある意味必要悪だとも言えるでしょう。けれども慢性の痛みや癌の痛みは違います。痛みそのものが自分らしい心を弱らせ、身体の動ける範囲、できることを少なくし生活の質をとても下げてしまいます。つまり慢性の痛みでは痛みそのものを治療の対象として捉える必要があるのです。また痛みが有るから動かない、動けないではなく、痛みが有っても動く、動けるという発想の転換が必要な事もあります。痛みはあなたを罰するものではありません、誰でも痛みがら解放される資格があるのです。ペインクリニックという医療はその様な痛みに苦しんでおられる方の手助けができる医療です。

うえひら内科・ペインクリニック © Atsushi Uehira